第17回「風俗嬢を15年間取材してきた元編集長が考えたこと」

パートナー・彼氏問題 その3
セックスワーカーがいい恋愛をするために考えたこと

風俗で働く女の子たちを15年間取材してきた、元すすきのマンゾクニュース編集長、ヒデさんに聞いてみました!
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セックスワーカーが恋愛する難しさ

まず、大前提としてセックスワーカーが恋愛を成立させるのって、現実的に難しい部分が多いと思うんだよね。 これは女の子もある程度感じてると思うけど、世間的にはセックスワーカーっていう特殊な立場上、それを理解してもらえる相手じゃないと難しいのかなぁと。 例外としては、同じような夜関係のお仕事、お店の男子スタッフやホストっていうところに落ち着く女の子が多いなっていうのが、僕が編集者時代に感じてたことなんだけど、同業者だと理解してもらいやすいということもあるんだろうね。

やっぱりその一つには、嘘をつき続けることのしんどさを女の子たちは感じてると思うんだよね。仕事のことを黙ってなきゃいけないっていうね。 言ったところでどうせわかってもらえないと思って言わないのもあるだろうし、言ったせいで関係が崩れてしまうという恐怖心もあるし。僕の感覚では、一般職の男性と付き合ってる風俗の女の子ってすごく少ないんじゃないかと思う。

「元お客さん、あるいは風俗の仕事OKな相手が彼氏。これって身体目当て?」をどう考える?

相手が身体目的でもいいんじゃないかと思うんだけどね。時代的にも、身体目的という言葉自体が形骸化している気がしてて、最近じゃ女の子にも男性の身体目的で付き合う人って多いよね、割り切ったお付き合いというか。 あと、身体目的で来たとしても、いっそ自らの身体とテクニックで相手を虜にしちゃえばいいんじゃないかと思うんだけど。セックスワーカーの女の子たちはそれくらいの強さを持っててもいいんじゃないかなって。

恋愛においても最近の風潮として女性がリードするケースも多いから、最初身体で虜にして、最終的に恋愛関係っていうのに持っていければいいんじゃないかな。 プロセスにこだわる必要はそんなになくて、せっかくそういう業種にいてテクニックを身につけてるのなら、それをどこで活かすのかっていう。

風俗のお仕事をしているときは、自分本位の恋愛を!

つきあう相手が身体目的より、金銭目的のほうが怖いわけで、それに立ち向かうためには、女性も自立していかないといけないよね。男に依存するような付き合いをしちゃうと、結局お金を払い続けないといけなくなっちゃうから。

これはもう極論として聞いてほしいんだけど、風俗のお仕事と健全な恋愛を両立させるのはすごく難しいことだと思うから、それを前提として、風俗のお仕事をしているときは、自分本位の恋愛をしていいと思うの。 逆に自分が、相手の身体目的っていうくらいのつもりでもいいんじゃないかと俺は思う。そういう相手ができたとして、金銭を要求してきたりしたときに、スパッと切り捨てられるような気概を持って付き合うほうが、精神衛生上いいんじゃないかと思う。まず自分を大事にするというのを前提にしてほしいな。 やっぱり、好きな人が現れると、その人の言う事を聞きたくなるし、尽くしたくなるし、っていうのもわかるから。
またそうなったとき、ダメな男に支配されないためにはどうしたらいいのかっていうと、常に相談できる第三者、つまり家族や友人を身近に置いたほうがいいのかなって思う。そういう依存傾向の心配がある人は特にね。 今まで取材してきて、男にお金を吸い取られて、そのお金を稼ぐために働いて、自分でろくにモノも買えずに、っていう女の子をたくさん見てきたからさ。そもそもそのために風俗を始めたわけじゃないでしょ。

風俗を辞めてほしい」と言われた時

これもまたセンシティブな問題でさ、「辞めろ」って一言も言われないのも、女心としては悲しいもんだよね。まぁ男の本音としては辞めてほしいっていうのは当たり前の話なんだよ。 それを伝えることは何も悪いことではなくて、あとはそれを受け止める女の子の問題じゃない?
たとえば目標金額があって、「そのお金を稼ぐまでは辞められない」ということを、付き合う時に伝えておけば、彼氏も理解してくれてる人なら無闇に「辞めろ」なんて言わないだろうし。 ただ闇雲に、「OLするよりも割がいいし、仕事的にも苦がないし、ただ目標もなくだらだら続けてます」っていうスタンスで働いてて、彼氏に「辞めろ」と言われるんだったらそれは辞めたほうがいいよね。

逆に借金を返済するためとかじゃなく、「私、誇りを持ってこの仕事しています」とか「楽しんでやってます」って言い切れるんだったら、考え方が合わない相手とは別れた方がいいよね。

辞めるということを最終的な目的として働く女の子と、ずっと続けていく女の子とでは、そもそも恋愛に対するスタンスも、相手選びの考え方も違ってくると思う。そこは線引きして考えたほうがいいのかなと。

風俗で働いていたという過去の捉え方

風俗の仕事に対して世の中の人々が持つ偏見ってゼロにはならないと思うんだ。その理由の一つには、風俗という業界をよく知らない人も多いからだと思う。 風俗を利用したことはあっても、その中で働いている人の心情とか、そこまで考えることってそうそうないじゃない、身近にいないと。だから、知らないから誤解することってあると思うんだよ。 それを伝えていくのは風俗メディアとかSWASHみたいな人たちなんだろうけど。人となりを理解してもらえれば、風俗の仕事をしていることについても多少の理解は持ってはくれると思うんだよ。

話は大きくなっちゃうけど、僕は風俗で働いたことよりも、風俗で働くに至った経緯のほうに目を向けちゃう人間だから、そっちのほうにその子の心の傷だったり、いろんなものを感じちゃうのね。 そこのほうが意外に根深かったりして、そっちと向き合うほうが大変だと思う。女の子自身も胸張って男の人の前に立つことがなかなかできないし、そうなると悪循環だよね。「風俗で働いたから自信持てないのかな?」とか思われちゃうし。 そこまで見てくれる男の人もなかなかいないから、女の子自身が心持ちを変えていかないと、相手の偏見をゼロ、もしくは少なくしていくっていうのは難しいかな。スタートラインに立つにはまず女の子自身が、っていうのがある気がする。 SWASHみたいな団体が今後男性向けに何か働き掛けていくことがあるのなら、いろいろやりようがあるのかもしれないけど。

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