風俗嬢のセカンドキャリアへの道 <前編>
風俗のお仕事を始めるきっかけは人それぞれありますが、卒業する理由もまた様々。 昼のお仕事と掛け持ちしながら働いている人も多く、辞めるも続けるもあなた次第。
しかし、風俗のお仕事だけを長くしている人にとって、年齢や病気・ケガなどで別のお仕事をしなくてはならなくなった時、実際にやっていけるだろうか?
風俗の仕事をしてきたことを人に言えないので空白の時間をどういうふうに言い訳したらいいだろうか?という不安が頭をよぎる人も多いのではないでしょうか? そんな不安を抱えながら働いている人や、これから風俗のお仕事をしようと考えている人に向けて風俗嬢のセカンドキャリアを作るために活動している、GrowAsPeopleの角間惇一郎さんにお話を伺いました。
GrowAsPeopleの角間惇一郎さんからアドバイス
セカンドキャリアに移行する方法】
風俗のお仕事をしていると、履歴書に書けない空白の時間ができてしまいます。 また、これまでの接客のお仕事とは異なる、事務や管理業務といった机に座ってのお仕事環境に突然移行すると、不慣れゆえのしんどさを感じることもあります。 違う仕事したいな…と考え始めたら突然の転身ではなく、まず少しずつ慣れる時間を作ることが重要です。
特におススメするのは、今働いているお店の内勤スタッフとしてアルバイトをすること。 法人登記し会社として経営している店舗であれば、社名と時給の給料明細が作成されるので履歴書に一般職種として経歴を書くことができます。
またデリヘルなどのコールスタッフのお仕事であれば、コースやオプション、今まで自分がやってきた接客内容をもとにお客様に説明したり、ホテルまでの道のりなども風俗時代の経験を活かした分かりやすい案内ができ、即戦力としてお仕事に貢献しやすいためです。
風俗以外の環境でアルバイトを希望する方は、求人媒体やメンズバリュー広告媒体の会社、若しくは、アダルトグッツ販売やAV会社、ラブホテルのフロント業務などの大人のアミューズメント業界で職務経験を積んで徐々に普通の会社へ移行することも良いのではないでしょうか?
アルバイトするのはまだハードルが高い。と感じるのであれば、風俗のスキマ時間を活かし、HIV陽性者支援をしている『ぷれいす東京』や地方都市で活動をしているHIVコミュニティーのボランティアに参加して普段自分が関わらない多様な人の集まりなどに出向き、外の人との関わり合いや活動経験をしてから段階的に移行する、というのはどうでしょうか? 特にHIVに関する活動を行うNPOは多様な人を受け入れる土台がしっかりしているので「仕事がバレたら軽蔑されるかな?」という不安が少なくてすみます。
風俗で働きながら、ボランティア活動や無理なく移行できる職種でのアルバイトを経験しつつ、徐々に昼間のお仕事へグラデーションしながら移行させていくことが、無理がなく実際に成功事例も多いセカンドキャリアへの移行方法です。いきなり職種を変え、慣れない仕事にバーンアウトを起こして自己嫌悪に陥るケースが散見されますので、ゆるやかな移行を心がけて下さい。
【セカンドキャリアにつく前のメンタルケアについて教えてください】
SWASHさんが特に力を入れているところではありますが、次の仕事への移行をする時には健康管理ができていることもとても大事。病気を抱えたまま普通の仕事に移行する、それはとてもしんどいことですので、風俗の仕事をしている間に心と身体の健康のケアを行い、自分の体調を管理できる状態にしておくことは絶対必要です。
【ネットに掲載された写真のトラブル・対策について教えてください】
デリヘルが主流になっている日本の風俗では、在籍店のHPや写真が指名率に直結します。指名を増やし働くことは継続的にそして安全に働くためにも重要な要素です。
一方で、昼間のお仕事に移行する際にネックになりうるのも、HP等に掲載している写真なのです。嫌がらせを受け、過去の仕事をバラされたり、昼間の仕事の関係者が見つけてしまった時などは、自分の立場が危うくなるリスクがあります。
風俗の仕事をしていたとしても軽蔑されない社会は理想ですが、今はまだすんなりと風俗の仕事を受け入れてくれない現状です。もちろん、いずれ風俗に関わっていたことを明かしても問題のない生きやすい社会になることを切望しますが、 今は未だそうではない時期であることは受け入れなければなりません。
そこでお店を辞める時には写真の削除を依頼することを忘れず行うようにすることが大事です。心無い人によって掲示板などに写真とともに情報を流された場合でも、不正アクセス防止法があるため第三者が介入し、ネット上の写真削除は出来ません。よって万が一、風俗の仕事をしていることがバレた時の対処法がとても難しいのです。ですので、自分の写真がどこに掲載されているのか、常に確認する習慣を作ること。そしてお店を辞めた時、写真をきちんと削除してもらえるか、確認ができるように日頃からスタッフさんとの関係性を良好にしておくことも大切です。
一所懸命頑張っているみなさんが、幸せに暮らせることを心から願っています。 自分の体調を管理できる状態にしておくことは絶対必要です。