AV男優とSWASHが語る!
「人生で大事なことはすべてセックスのお仕事で学んだ」イベントレポート
大阪エイズウィーク2014参加企画!
SWASHは2014年12月5日、大阪で行われたエイズ予防啓発キャンペーン「大阪エイズウィーク2014」の参加企画として、人気AV男優さんたちを東京からお招きしてトークイベントを開催しました!
セックスワークと言っても、様々な業種や業態があり、特にAVと風俗は性を介したお仕事という点で同業ではあっても、同質のお仕事ではありません。だから、AVという映像系と風俗という接客系で働く人が同席してお話するとても稀なイベントでした。
出演者には、田淵正浩さん、吉村卓さん、森林原人さん、浅野あたるさん、大島丈さん、柏木純吉さん、ゴローさん、桜井ちんたろうさん、真田京さん、トニー大木さん、ハットリさんら総勢11名の錚々たる人気男優さんたちが集結。 ゲストに元セックスワーカーのハスラー・アキラさん、SWASHからは、げいまきまき、水嶋かおりんを交え、神戸大学の青山薫さんとライターの野ざらしマリーさんによる司会のもと、エキサイティングなトークが展開。「セックスの仕事人たちが学んだ知識・スキル・経験は、みんなの人生の役に立つ“生きるヒント”」というコンセプトにより、HIV/性感染症予防に始まるセクシュアルヘルスの「意外な盲点」から、日常で活かせるコミュニケーションスキルまで、今すぐ役に立つ「生きる技」などが紹介されました。
まず冒頭から話題になったのは、セックスワークのネガティブなイメージについて。セックスワークをしたことがない人は、その無知さゆえに、セックスのお仕事の業界に対して、危険で裏社会的なイメージを持っている人が多いですよね。 でも実際は、AV男優さんたちは個人事業主として確定申告もして、長い人では田淵正浩さんのように25年以上のキャリアの人もいるし、水嶋かおりんは自分でお店を立ち上げて、独立系風俗嬢として活躍しています。
彼ら・彼女たちのように、お仕事のことをカムアウトする人が増えれば増えるほど、間違ったイメージも解消されるというハスラー・アキラさん。「カムアウトって大事なんですよね。どうやったらこの仕事を認めさせるか。 反社会的とかどうの以前に、この仕事でこんなふうにいろんなこと学んだとか、誰かを幸せにできたとか、喜ばせることができたとか、そういったことを顔出しでどれだけの人たちがいい言葉で語っていくかということが大事なこと」。
また、「生まれ変わってもAV男優になりたい」と胸を張っておっしゃる森林原人さんは、田淵正浩さんに言われた言葉で感銘を受けたことがあるそうです。「どうせみんな死ぬんだから。死ぬときにお金は持っていけないけど、思い出と経験は持っていける。仕事として何千人と(セックスを)経験できることはない。 その貴重な経験を持って、死ぬ瞬間にこの人生で良かったって絶対思うから」。この田淵さんの言葉に、AV男優として自信を持ち、「この人について行こう!」と思ったといいます。
続いて、司会の青山薫さんが、「性感染症や妊娠等のリスクのある、『コンドームなしでナマでやりたい』願望や、『中出ししたい』願望はどこから生まれるの?」と、みんなに聞いてみました。出演者のみなさんの大半は、「AVや風俗の問題じゃなくて、性教育の不十分さが大問題」という見方。桜井ちんたろうさんは、「ナマ・中出し問題は、日本人の性に関する未熟な問題。 性教育がきちんとされていれば、AVの中だけの話なんだとわかるはず。日本の性教育がまだ閉鎖的すぎる。おしめとめしべのことだけ教えただけだと、いきなり中出しとかでてきたらわからない」という考えを示し、みなさん激しく共感。
げいまきまきも、「AVや風俗を悪者扱いするなんて間違ってると思う」と熱く語り、2014年にオランダに行ってみてきた現地の性教育がどんなだったか話してくれました。 「飾り窓のあるアムステルダムでは、青少年科学センターのようなところで、ワンフロアが性教育のフロアになっている。かわいいアニメーションなどを使って、体の成育のこととか、性欲はどういうふうなスイッチで入るんだろうとか、小中学生~を対象に、セックスとしての男女だけでなく社会的な文脈・意識で男女を捉えるジェンダー学をポップな形で教えていて素晴らしかった」。日本でもそんな性教育がされれば、きっと、ナマ・中出し問題も改善されるはず。
ハスラー・アキラさんによると、ゲイコミュニティでも同じような問題があるといいます。「ゲイの分野でもナマ・中出しビデオが増えていて。HIV予防啓発活動している人たちで、『そういうビデオがあるから人々は中出しするようになる』と言っているのを聞いたことがある。でも僕はビデオのせいかどうかは疑問で、ビデオ作っている人が言うのには、『ナマ・中出しが流行っているのを自分たちもすごく問題視してる。だけど僕らがそういうビデオを作るのは、そういうのを見たいという人がどんどん増えているからなんだよね』と。 そういう面もしっかり受け止めて、国も性教育に取り組んでいかないといけないよね」。
ナマ・中出しは危険っていうことをわかっていても、「コンドームをつけよう」って相手に伝えるタイミングや空気をつくるのは難しいと感じている人がいるのも実際のところ。でも、森林原人さんのように、「コンドームをつけて」と言わない人に不信感を持つ人もいます。 「もし女性が『(コンドーム)つけて』と言わなかったら、『この人はセックスする際は誰とでもナマでやるのかな?』と思って、逆に冷める。本命だからゴムをつける。『自分を大切にしてほしい』と思うんだったら、『ゴムをつけて』って言うほうがいいイメージになる」。
女性から「コンドームつけて」という時の、水嶋かおりんからのアドバイスとしては、「ゴムつけてるほうが私気持ちいい(感じるの)」と言うことだそうです。 これを聞いたトニー大木さんが思わず、「なるほど!」と納得。しかし、司会の野ざらしマリーさんから、「『ゴムすると擦れて痛い』っていう子がいるんだけど、そういうときはどうしたらいい?」と、さらなる難問が畳み掛けられることに。 そこで、森林原人さんが、「大島丈さんとセックスして痛いって言った女の子、聞いたことない!」と言って、大島さんの、痛くないセックスの秘訣に会場の興味が集中しました。
大島さんは、濡れることを前提にコンドームを付けたセックスをスムーズに行うために、「女優さんと向き合ってやっていこう、ということを自分の中で決めている。指技が上手いとか激しいピストンができるわけでもなく、技術面に走らず五感全てを使うようにしています。手が遊ばないようにし、テクニックがない分を心でカバーします」とのこと。この丁寧なお仕事への向き合い方に、会場から「おぉー♪」と歓声が起こり、「あの辺2、3人すでにイってますよ」と吉村卓さんがすかさず鋭い突っ込みを入れました。
風俗も同じです、という水嶋かおりんも、「接客でメンタルを豊かにしないと、お客さんに虚しさを残して帰させてしまう。ここきてよかった、と思われるサービスができると達成感がある」と、大島さんのお話にすごく共感していました。
AV男優とSWASHが語る!
エンターテインメントを軸にお仕事されているAV男優の方々は現場を盛り上げよう!というサービス精神がとても旺盛でした。普段からお仕事で、カメラワークや照明位置やAV女優さんやいろんなまわりのことを考えながら働いているからでしょうか。 場の空気を読んだり、ナイスなフォローをしたりツッコミをしたりすることに長けているのをみて勉強にもなったイベントでした。みなさんもぜひAV男優さんたちのイベントに出かけてみてはいかがでしょう? すごく楽しめること間違いなしです!