はたらきかたマニュアル

性感染症の基本

性感染症とは?
➡セックスによって人から人にうつる病気のこと。

1)粘膜感染
粘膜が触れ合うことで病原体が相手から自分にうつる
➡例:梅毒、淋病、クラミジア、ヘルペスなど

2)糞口感染
アナルをなめることで便に含まれている病原体が口→消化器に入り込む
➡例:A型肝炎、アメーバー赤痢など

3)血液感染
相手の血液が自分の血管に入り込むことで、血液中の病原体がうつる
➡例:HIV(エイズ)、B型肝炎、C型肝炎など

どうしてSexで血液感染するの?
➡こすれ合うことで粘膜の表面に目で見えないほどの細かな傷がつき、そこからごく微量の血液が出て相手の毛細血管に入り込むため。

確率0.1%ということの意味
無防備なセックスを1000人がやればそのうち1人が感染する。 自分がその1人かもしれない! 0.1%というのは粘膜が健康で傷がない場合の数字。 淋病やクラミジアにかかって粘膜が荒れていると、血液感染の確率は5~20倍くらい高まる。

二次予防
●定期的に検査を受け、淋病、クラミジアを早期発見、早期治療することでエイズを防ぐ。

カンジダ
●性感染症ではないが、外陰部~膣に感染する。カンジダそのものはどこにでもいる。睡眠不足、過労、不規則な生活、栄養のアンバランス、ストレスなどで免疫力が落ちると、感染を起こす。

目でわかる性感染症

風俗店では、性病や包茎の場合はコンドームを使えるお店が多いので、病気かどうかを目でチェックするのは感染を防ぐ第一歩。ゴムが使いにくい場合は、代わりの予防法をためしてみよう。

クラミジア

●尿道から白っぽいウミがでる(根元からギューっとしぼると出てくることもある)。かゆみ、おしっこの時に痛む、など。症状は軽い。無症状の場合も多い。

●白いオリモノが増える。自覚症状は軽く、気付かないことも多い。のどにも感染する。
【潜伏期間】1~3週間 【治療】薬を2週間飲む
(のどへの感染も飲み薬で治る)女性の場合、尿道炎ではなく膣内感染なので、始めは無症状で、病気が進行すると骨盤内・腹腔内にクラミジア菌が侵入し腹膜炎や卵管狭窄による不妊症の原因になるという見方がある。

淋病

●尿道から黄色っぽいウミがでる。かなり痛く、尿道口が赤くなる。ただし、最近は無症状の場合も増えている。

●黄色っぽいオリモノがでる。生臭いにおいがする。おしっこの時にすっきりしない感じがある場合も。のどにも感染する。
【潜伏期間】2~10日
【治療】薬を1週間飲む。注射だと1日でなおる。最近は抗生剤に強い淋菌(耐性菌)も出現しているから早急なしっかりした治療が必要。


性器ヘルペス

●性器や性器周辺のヒフに、米つぶ大の水泡(水ぶくれ)や湿疹がいくつもできる。激しく痛む。かゆみ、熱い感じもする。つぶれた水泡に触れると感染する。

●性器周辺や膣の中に米つぶ大の水泡や湿疹ができる。痛い。初めて発症する時は症状は重く、次回からは軽い。感染しても8割の人は症状はでない。
【潜伏期間】1~2週間
【治療】飲み薬と塗り薬を1週間ほど続けると症状は治まる。治療しなくても3~4週間で症状はなくなるが、その間は相手に感染させる。

尖圭コンジローム

●先のとがった水気のない白っぽいイボが、カリ・サオ・タマ・肛門のまわりにできる。大きさはゴマ粒の半分~親指の先くらい。トサカ、カリフラワー、ネコの舌などに似ている。イボにさわると感染する。

●先のとがった水気のないイボが小陰唇~膣口、肛門の周囲にできる。大きさはゴマ粒の半分~親指の先くらい。
【潜伏期間】1~6ヵ月(たいていは2~3ヵ月)
【治療】レーザーなどでイボをとる。イボをとったあとの患部に塗る抗がん剤などの塗り薬は、きつい薬であるため、塗りすぎるとただれるので気をつけること。患部が元にもどるまでは仕事はお休みした方がよい。

梅毒

●(第一期)性器や股のつけね、肛門、口の中など感染した場所に、直径1cm以内の硬いしこりができる。痛みはない。(第二期)2~3ヵ月後に、全身に赤い斑点状の発疹ができ、髪の毛が抜けたりする。しばらくすると、どの症状も自然に消えるが、治療をしないままだと病気は進行する。
【潜伏期間】10日~3ヵ月(たいていは3週間ほど)
【治療】注射か飲み薬で2~3週間でなおる。

毛じらみ

●陰毛のはえている辺りに、赤い斑点や、虫にかまれた跡が見える。かゆい。毛ジラミの成虫(約1mm)、陰毛の根元に産みつけられた卵は、目でも確認できる。パンツに毛ジラミのフン(黒や茶色の点々)がつくことも。 【潜伏期間】1日~1ヵ月
【治療】剃毛するか、薬局で売っている「スミスリンパウダー」か「スミスリンシャンプー」を3日おきに10日間つかう(1日目、4日目、7日目、10日目の4回)。働きながら治療したい人は、毎日仕事前に薬をつかえば、人にはうつりません。

目で確認できないもの

肝炎(ウイルス性肝炎、A、B、C型がある)

感染しても「だるい」だけで気付かないことが多いです。1~2%の人は急に症状が激しくなる場合も。感染すると将来肝硬変や肝臓ガンになる可能性が高くなります。A型はウンコからうつります。アナル舐めやアナルセックスには注意。B・C型は、血液や精液から感染するので、フェラやホンバン(挿入)で感染します。

【潜伏期間】A型:2~6週、B型:1~6ヵ月、C型:2~16週(発症にもっと時間がかかる人や、まったく発症しない人もいる)

エイズ

精液、血液、膣分泌液、母乳に含まれるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)が、粘膜や傷から感染する。感染しても自覚症状はほとんどない。HIVでからだの抵抗力がさがり、症状がではじめた状態をエイズとよぶ。

【潜伏期間】治療をしない場合、感染から発症まで平均10年。

【治療】ウイルスを完全に取り除く方法はまだ開発されていないが、感染が早くわかれば、薬で病気の進行をかなり遅らせることができる。

無症状

トリコモナス: 男性は無症状だけど、女の子に感染すると臭いのキツいオリモノがでる(イカやスルメのにおい!)。男性の尿道と、女性の膣に感染する。

【潜伏期間】3日~1ヵ月 【治療】飲み薬と膣に入れる薬(錠剤)で10日ほどでなおる。治療開始から2日ほどすると他人にうつす心配はなくなる。

病気でないもの

フォアダイス(脂肪のかたまり)


※いずれも性感染症ではない。
*これらは病気ではないので感染はしません。でも尖圭コンジロームの初期症状など、見分けがつきにくいモノもあるので、ん?と思ったら直接なめたり触れたりしないよう注意。

【薬】について
病院で処方された抗生剤は、医師の指示通りに最後まで飲みきること(途中で飲むのをやめないこと)。のどと性器の性感染症は、同じ抗生剤や薬で治るものもあるので、検査前に飲んでる薬を医師に伝えよう。

【検査】について
【のどの性病検査】
のどのクラミジア、淋病検査は、やっている病院とやってない病院があるので、事前に確認して行ってね。のどだけを検査したい場合は、耳鼻咽頭科クリニックでもやっているところがあるよ。
【保健所での検査】
クラミジア、淋病、梅毒、B型肝炎は、地域によっては保健所で無料で調べることができるよ。HIV検査は全国どこでも無料検査が行われているよ。
【培養検査】
抗生剤にはいろんな種類があり、病院によって処方される抗生剤はさまざまです。そのため、薬が自分に効くかどうかを調べるための、培養菌検査というのがあるよ。

【保険証】について
性感染症の症状があると伝えると保険がきき、ただの検査だと保険がきかないよ。(確かに健康診断も保険使えない!)のどは特に保険がきくかあいまいなので、先に保険がつかえるか聞くといいよ。保険証を持っていない人や、何科に行ったかを身内(保険一緒に入っている人)にばれたくない人は保険を使わなくても医者にかかれる。使わない場合、偽名でも受診できるがただし全額負担。

病気かも? と思ったら

お客さん、もしかして病気かも…?と思ったら、できることはいくつかあります。

コンドームを使う。
風俗店では、病気や包茎のお客さんにはゴムを使えるお店が多いです(女の子がゴムを使うかどうか自由に選べるお店もあります)。あれっ?と思ったときにはフェラにはゴムをつけるのが無難です。*でも、なんて言ったらいいかわからない!という場合もありますよね。ここではSWASHが行ったアンケートから、多かったものをあげてみます。

■「お店で決まってるから」
決まりだからと言う。いやなムードにならないように笑顔で対応/私のお店は生のサービスだけど、性病のうたがいがある場合はつけないとダメなの、ごめんね。あなたはいいかもしれないけど、私達にうつるとすぐに症状がでないから、次のお客さんにうつしちゃう可能性があるから、つけさせてネ。あんまりイヤだったらお店に言ってください。

■「病気が心配」
病気が心配と言う。女の子側にうつるのが心配と言うより、お客さんにうつしたら…という言い方をすればだいたいOKです。/お互いに安心するでしょ、私たちも人間だから/「お互いの明るい明日の為に」とか言ってつける。

■「ムードでせまる」
ムードづくり。胸などをせめながら先っぽに少しコンドームを付け、あとは口でかぶせる/了承を得たあと、フェラの時に口でつける/キスをしながらつける/ゴムを見せずにフェラチオする時にこっそりつける。しないとフェラチオしない。

■「口内炎&歯医者」
口内炎になっているからと言い訳をして使用する/今日歯医者行ったからゴムつけさせてね。

■お店に協力してもらう
カドがたたないようにやさしく、だけど、はっきり理由を言います。それでもイヤがる人は、料金を返すからといって帰ってもらいます/はっきり理由を話す。それで納得しなければ、ボーイに連絡をしてボーイの口から説明してもらう。

ゴムが使えない場合…

●ブツブツや赤くなってるところ、イボ、傷口などは、なめたり触ったりしない。

●なるべくサオ・タマを中心になめる
特に、尿道周辺や先走り液(射精より前にでる透明の液体)はなめない。淋病やクラミジアの病原体は先走り液の中にたくさんいます。

●フェラの時は、つばをたくさんだす。
病原体を口の中から洗い流すようにフェラをする。気持ちよさも増す。

●射精は外で。
口の中、特にのど(扁桃腺)に精液がふれると感染する可能性が高くなります。口内発射のときは喉の部分に精液があたらないように、舌の裏面で受け止める。あるいは、手や髪の毛で隠して、口の横(ほっぺた)のあたりで受けとめる。

●口内炎のとき
「口内炎パッチ大正A」や「アフタッチ」という口内炎用シールを患部に貼る。

●素またのときは、太ももの付け根のあたりを使う。
なるべく性器どうしが接触しないように性器の横、太ももの付け根あたりで素またする。

●サービスが終わるごとに、性器周辺をあらう。
あまりゴシゴシあらうと傷付いて逆効果なので注意。ぬるめのお湯でやさしく洗い流してあげてね。使うならコラーゲンパックとか入ってる石鹸や赤ちゃん用ボディソープのもので。おしっこをすると、尿道から病原体が洗い流されるのでもっとよい。

●その他
■キス:虫歯があるときは歯周病のお客さんから感染しやすい。
においがあるからわかる。
■アナル系:なるべくアナル周辺を刺激。指サックやコンドームを使う。
どうしてもアナル舐めをしなきゃいけないときは、舌にコンドームを被せて舐めるか、デンタルダムを使う。

Q&A

Q. 粘膜が弱い、カンジダになりやすいのだけど…

A.性器は湿気に弱いので、乾燥させることをこころがけて。粘膜弱い人は、オロナイン軟膏がいい。これに使われる基剤というのがいいから。でも塗りすぎると菌が発生することもあるから気をつけてね。

Q. 赤くて、てかてかぱんぱんのおちんちんて?

A.水虫、雑菌(ブドウきゅう菌)、腸きゅう菌が考えられます。

Q. 仕事の前や普段の生活でできることは?

A.仕事の前は、歯磨きのしすぎで歯茎を傷めないようにする。かみそりによる脱毛は前日に。(かみそりによる脱毛後は血管が露出した状態になっているから危険)普段の生活では、しっかり野菜を食べて睡眠もちゃんととって健康管理に気をつけること。