International Workshop in Kyoto University

2012.5.18国際ワークショップ開催
「グローバル化するセックスワーク――オーストラリア×韓国×台湾×日本」in 京大

workshop518

オーストラリア、韓国、台湾、日本で、長年セックスワーカーの権利運動、支援活動をしている4カ国の自助支援組織が集まり、グローバル化する性産業とそこで働く人々についてのワークショップを行います。
ジェンダー・セクシュアリティ、フェミニズム、文化人類学、社会学など、関心のある学部生、院生のみなさまはじめ、広くご参加ください。
海外ゲストスピーカーには、Scarlet Alliance(オーストラリア)のJules Kim氏、Giant Girls(韓国)のYeoni Kim氏、COSWAS(台湾)のIyoko Shojima氏をお迎えし、移住のグローバル化と性労働の関係、法律改正や政策による現場への影響など、現状の問題とそれを克服するヴィジョンについて、現場の経験と方法論をとおしてご報告いただきます。各プレゼンは日本語通訳がつきます。みなさんどうぞ奮ってご参加ください。
また、今回のテーマで、特にお知りになりたいことがございましたら、ゲストスピーカーの方々に事前にお伝えしておきますので、問い合わせ先にメッセージを送っていただけるとありがたいです。当日の内容に考慮させていただきます。

●日時:5月18日(金) 開場18:00 開演18:30(21:30終了)

●場所:京都大学人文科学研究所 本館4F大会議室
(〒606-8501 京都市左京区吉田本町
http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/zinbun/access/access.htm)

●お問い合わせ先:mail.swash(AT)gmail.com/shakti(AT)zinbun.kyoto-u.ac.jp

●主催:京都大学人文科学研究所・人文学国際研究センター 科学研究費補助金プロジェクト(挑戦的萌芽研究)「現代日本社会におけるグローバル化する性産業についての文化人類学的研究」(京都大学人文科学研究所教授・田中雅一代表)
●協力:SWASH(Sex Work And Sexual Health)

【当日のプログラム】

・18:30~ 趣旨説明 田中雅一

・18:40~ Jules Kim「Migration Projectの調査と活動」

・19:10~ Yeoni Kim「性売買防止法制定後のセックスワークの現在」

・19:40~ Iyoko Shojima「社会秩序保護法改正と、セックスワーカーの非犯罪化運動」

・20:10~ 要友紀子、ぽんぽんまる、りりぃ「人身売買対策と移住労働セックスワーカー」

・20:30~ 休憩

・20:40~ コメント 青山薫(神戸大学国際文化学研究科准教授)

【スピーカーの所属団体紹介】

★Scarlet Alliance
1989年設立以来、20年以上にわたってオーストラリアにおける性サービス提供地域・店舗・セックスワーカーの実態把握とアウトリーチ活動を活発に行っている。2005年より、連邦保健・高齢化省などから公的資金を獲得するようになった。すべての活動は、セックスワーカー当事者コミュニティの積極的な関わりとピア・エデュケーションの原則に基づいており、近年の独自調査には、労働環境の安全衛生、性感染症予防のほか、中国人・タイ人・韓国人セックスワーカーの調査、人身取引や暴力に関する調査などがある。当事者が関わった調査のインパクトとして、性感染症予防に関しては、「オーストラリアのセックスワーカーにおけるHIV感染率は各国に比較して低い。これは、(セックスワークの現場で)安全なセックスが規範となっていること、安全なセックスをするための用具が手に入りやすいこと、および(当事者)コミュニティ主導の保健行動と当事者による介入に負うところが大きい」という保健・高齢化省の見解を引き出している。また、2009年に改定された連邦政府のHIV/STI対策会議に専門家して参画している。(「ジェンダー社会科学の可能性第1巻 かけがえのない個から ―人権と家族をめぐる法と制度―」所収「セックスワーカーの人権・自由・安全」(青山薫・神戸大学)より」
http://www.scarletalliance.org.au/

★Giant Girls
性売買防止法が発効された2004年9月23日に、セックスワーカーの団体「ハント女性従事者連盟」が結成された。この団体は、生計に膨大な打撃を受け、政府の掲げる自活支援の虚構性を知った全国の性産業集結地のセックスワーカー約7000人が、各地の代表を中心に結成。取締りによって、働く町を追い出されたセックスワーカーたちは、帽子とマスクで顔を隠した姿で「生存権保障」をはじめ、「性売買防止法の撤廃」などの要求を掲げて全国の性産業の集結地のあちこちでデモンストレーションを行なった(2005年に「全国性労働者連帯ハント女連」(以下、全性労連)に改名)。一方、2005年には、一部の女性たちが「全性労連」から脱退し、「民主性労働者連盟」(以下、民性労連)を新たに立ち上げた。これは、性労働者間の分裂ではなく、性労働者が置かれている状況がそれぞれ相違していること(伝統型/産業型の違いなど)を認識し、より能動的に対処するための方法の一つであったとされる。その後、民性労連は労働組合を結成し、2009年夏頃まで活動していたが、現在活動を休止している。この民性労連の流れを汲んで2008 年に結成されたのがセックスワーカー支援グループ・Giant Girls(gg)である。毎年6月29日のセックスワーカーの日や、法律施行日の9月23日には討論会を開催したり、セミナーチームのリサーチ、セックスワーカーたちの慰労会などの活動に取り組んでいる。
http://www.ggsexworker.org/

★COSWAS
台北を拠点とするセックスワーカー支援NPO、COSWAS(Collective Of Sex Workers And Supporters)。旧公娼制度時代からのセックスワーカー支援と、公娼時代の歴史資料館を保存する運動、現在のセックスワーカーの労働状況調査、政治的ニーズを訴えるロビィングなどを行っている。1997~1999年の公娼廃止反対運動が最も盛り上がりをみせ、その後もCOSWASとしてはセックスワークの非犯罪化に対して取り組んできた。現在、専従は5人、ボランティアは5年以上にわたって20人ほどが関わっている。活動メンバーは、他の労働組合の専従や、LGBTの運動、移民支援の経験者など、幅広い関心から構成されている。台湾では、2009年に司法院大法官(最高裁長官)の憲法解釈によって、売春処罰規定が違憲であるという判断が出され、2011年の社会秩序保護法改正のきっかけとなったが、これはCOSWASのこの間の運動が後押しとなった。毎回の地方の市長選挙、総統選挙のたびに候補者に対して、セックスワーカーにどういう態度をとるか公開質問して態度表明させてきたことによって、公娼廃止反対運動以降は、政治家は、性産業のクリーンアップを自分の売りとすることはなくなった。
http://coswas.org/

★SWASH
SWASH(Sex Work And Sexual Health)は、セックスワーカーが安全・健康に働けることを目指し、1999年に設立。メンバーは、当事者とサポーターで構成されており、当事者向け支援、労働調査研究、海外グループとのネットワークや協働、社会啓発活動を行っている。これまで、当事者向けとして、性感染症予防パンフレットの制作・配布、予防講習会の実施等のアウトリーチ活動、調査研究では、日本人セックスワーカーの労働意識調査(2000)、HIV/STDに関する知識・行動調査(2000~2011)、トランスジェンダーセックスワーカーの性行動・意識に関する調査(2011)、外国人セックスワーカーの人身売買とHIVに関する調査(2006~2009)がある。また、毎年行われる国際エイズ会議や、セックスワーカー支援団体の国際的なネットワークを通じて、各国のグループと当事者支援の連携体制をつくるなど、日本で働く外国人セックスワーカー支援にも力を入れている。
http://swashweb.sakura.ne.jp/